甲飛喇叭隊 第十一分隊 News Letter 第19号
2016年4月1日 発行
 みなさんおはようございます、甲飛喇叭隊 第十一分隊です。

 谷の鶯もそろそろ声をたてようかという四月の始まりです。東京では靖国神社にある桜が綻び、待ちに待った開花宣言がなされました。

 桜の開花は農業開始の時期と重なる事により、古くから神聖視されてきました。万葉の時代には既に特別に親しまれるようになり、平安時代の国風文化ではそれまでの唐風の梅に代り、「花」といえば桜を示す程こよなく愛されたという事です。
 平安末期、西行法師の詠んだ
 願はくは 花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ
は、多くの人が抱く桜への愛着を深く感じさせる一首ですね。

 近代に於いても、桜といえば日本人の心の拠り所として、歌や図案、名称など様々な場所で採用されていました。戦時には軍歌『同期の桜』や軍服のボタン。そして特攻機・桜花など…
 今回は靖国神社で催行された第37回特攻隊合同慰霊祭のレポートをお送りします。

 一服の時間、お休み前の一時、どうぞお供にお読み下さい。
<第37回特攻隊合同慰霊祭に参加して>


春は名のみの風の寒さや……。
早春賦の一節が思い浮かぶような桜もまだ蕾が目立つ肌寒い春空の下、第37回を迎えた特攻隊合同慰霊祭に甲飛喇叭隊第十一分隊は支援要員として参加して参りました。

この特攻隊合同慰霊祭は私達の分隊にとっては甲飛14期であった初代隊長が、戦没者の慰霊顕彰と海軍の動作・礼式の継承を目的に創設した経緯もあり、非常に縁の深い慰霊の場の一つです。
各地から参列した御遺族や来賓等が集まり、いよいよ年に一度の合同慰霊祭が催行されます。
凛とした空気の中、修抜、献饌、祝詞奏上…と慰霊祭は粛々と進められて行きます。

昇殿参拝の為、参拝者で賑やかな拝殿前から廊下をすすみ本殿前へ。
不思議な事ですが、人々で賑わう拝殿前は振り返ればすぐそこの視線の先なのですが、拝殿前まで来ると何とも言えない、まるで森の中のような爽やかな静けさに包まれています。
まさに「神域」とはこういうことかと足を進める我々も自然と背筋が伸び、平和の礎となられた諸英霊の御霊が神鎮まりたもう場所なのだということが改めて感じられました。
靖国神社とそこに祀られる英霊の御霊の安からんことをお祈りして参りました。

慰霊祭の後は直会にあたる懇親会が執り行われ、慰霊顕彰会の活動報告やご遺族・ご来賓のご紹介の後、弁当や酒が供され懇談会となります。
特攻隊員として散華された英霊のご供養を行われている世田谷山観音寺の御住職も参加されておられました。神道・仏教共に英霊の慰霊・供養が滞る事無く未来へと繋がって行く事は大変ありがたいことだと感じずにはいられません。

また、この懇談会は特攻隊員として散華された戦友やご家族の事をお聞きすることのできる貴重な場です。
戦争体験者が年々少なくなってきた今日、このような場も年々少なくなってきております。散華された戦友の方々の思い出や、ご家族の思い出を御遺族の方々からお聞かせ頂くことも、後世にに継承するべき大切な「慰霊顕彰」「御供養」のひとつだと我々は考えております。

これから満開に花開くであろう桜のつぼみを見ながらの帰り道、いつまでも靖国神社が桜の名所として人々が集い憩う慰霊の場であってほしい。
散華された御柱に感謝の念を改めて感じた慰霊祭でした。