甲飛喇叭隊 第十一分隊 News Letter 第6号
2014年12月19日 発行
 みなさんこんにちは、甲飛喇叭隊 第十一分隊です。
 今年もあと僅かとなり、全国的に冬将軍の布陣が急ピッチで進んでいるようです。

 今月12月は真珠湾攻撃が行われた月でもあります。空母「瑞鶴」も、この攻撃に間に合わせるために工期を大幅に短縮し、五航戦の一員として参加しました。真珠湾攻撃当日、瑞鶴ではどのような食事が供されたのでしょうか?
 イベント弁当に定評のある株式会社 江戸まとい様が、当時の瑞鶴掌衣糧長が残した貴重な記録から再現を試み、来る2月8日(日)、ワンダーフェスティバル2015[冬]にて『空母瑞鶴戦闘配食 五航戦にぎり』を携え出展されます。 我々甲飛喇叭隊 第十一分隊は当日、微力ながら販売協力員として参加いたします。詳細が気になる方は是非十一分隊ホームページにあるバナーよりご覧下さい。
(※予約受付は終了いたしました)

 さて、「真珠湾攻撃は私の信念である」として、強く提唱したのが山本五十六海軍大将でした。 その周辺人物の関連性に注目した全3回連載のコラム、今回はいよいよ最終回です。
一服の時間、お休み前の一時、どうぞお供にお読み下さい。

 今年は十一分隊にとっては、ジャンプのための力を溜めた、そんな一年でした。 来年さらなる飛躍ができるよう、基礎となる教練をおろそかにせず、また沢山の方にお会いできる事を楽しみに邁進してまいります。 みなさまどうぞ良いお年をお迎え下さい。
<山本長官を支えた参謀たち(3/3)>

前回より引き続き、山本長官の腹心といえる参謀たちをご紹介します。
次は各職務を担った参謀たちです。人数も多いためこちらはより簡単に紹介いたします。


◎砲術参謀
はじめは藤間良中佐(海兵47期)。前任からのため長官就任後まもなく転任。近藤新一中佐(海兵49期)を経て杉藤馬中佐(海兵50期)が就任。
宇垣参謀長が就任したころ、連合艦隊と第一艦隊が分離するのですがその際に杉中佐は第一艦隊へうつり砲術参謀は渡辺戦務参謀が兼務することになりました。


◎水雷参謀
前任からの鈴木正金少佐(海兵50期)から山本祐二少佐(のち中佐。海兵51期)へ交代。一年ほどで軍令部作戦課にうつり、有馬高泰少佐(のち中佐。海兵52期)へ代わります。
山本中佐は軍令部部員としてその後、戦争の指導にあたり戦争末期には第二艦隊の参謀となってついに戦艦大和と運命をともにしました。
有馬少佐は真珠湾攻撃における魚雷攻撃の方法に大変苦心し、その攻撃が成功したときは周りの目を気にすることなく飛び上がって手を叩き喜んだそうです。


◎航海参謀
国府田清中佐(海兵49期)は前任の留任で、その後一年間山本長官を補佐しました。
次に着任したのは永田茂中佐(海兵51期)。参謀の前は各学校の教官を勤め、航海に関して一目おかれた存在でした。体格が非常によく、その様子は集合写真をみてもよくわかります。大変な酒好きだったとか。


◎航空参謀
前任の長官から続く樋端久利雄少佐(海兵51期)は山本長官着任後間もなく転任しますが、太平洋戦争開戦後に再び航空参謀として舞い戻りました。大変優秀で海兵、海大ともに首席。その前後数期の中でもずば抜けた秀才として有名でした。山本長官の前任の長官は部下の書類に厳しいことで有名で、参謀長の高橋少将でさえもが参るほどだったようです。それにも関わらず樋端少佐の書類はほとんど修正されることはなかったといわれます。
その樋端少佐の後任が佐薙毅中佐(海兵50期)。山本水雷参謀と同じく一年ほどで軍令部の作戦課へうつりました。戦後は航空自衛隊の幕僚長になった方です。
その後任が佐々木彰中佐(海兵51期)。真珠湾への攻撃は飛行機が主体であり、航空攻撃に関する具体的な部隊編成は佐々木中佐に依るところが大きくありました。また航空参謀は二人制で上記の三人が航空甲参謀と呼ばれるのに対し、第一艦隊が分離するまでの間、航空乙参謀として河本廣中少佐(海兵53期)ついで井口兼夫少佐(海兵54期)がそのサポートに当たりました。


◎通信参謀
前任からの鈴木忠良中佐(海兵48期)が転任し、海軍通信学校教官だった田村三郎中佐(海兵50期)が着任。一年後に田村中佐は海軍大学校教官へうつり和田雄四郎中佐(海兵51期)が着任します。
和田中佐は寡黙な人柄ながら連合艦隊の通信を統括するなど数々の功績を打ち立て山本長官の評価も大変高かったようです。長官戦死の少し前に転任しますが、後任の古賀峯一長官のときに再び連合艦隊の参謀を勤めることになります。


この他にも機関参謀や兼務参謀といったポストがありましたが今回は原稿の都合上、割愛いたします。以上長きにわたりましたが参謀の紹介はこれで終わります。

いかがだったでしょうか。山本長官をとりまく参謀の方々。意外に大勢の方が動いているのです。しかも司令部は参謀だけではありません。他に三長と呼ばれる機関長、軍医長、主計長。そして三長を補佐する各職員たち。また参謀を補佐する縄を吊らない職員たちもいました。暗号を掌る暗号長や気象を観測する気象長と呼ばれる方々も司令部には詰めていました。つい省略されがちなところですが細かいところまで調べてみると実に多くの職員があらゆる職務を分担しています。
海軍は艦隊や艦船、飛行機の面が華やかで派手ですが、それらを動かす連合艦隊という組織の内部を観察することも面白いでしょう。歴史は人が作るといいます。その変遷と組織の中で動く人物像を知ることにより歴史の面白さを味わい、そして新しい発見に結びつくのではないでしょうか。

映画もきっと違う目線で楽しむことができることと思います。


連載第一回は参謀長たちについてお送りいたしました。
連載第二回は各職務を担った参謀たちについてお送りいたしました。