甲飛喇叭隊 第十一分隊 News Letter 第10号
2015年3月12日 発行
 3月10日は陸軍記念日でしたね。
 陸軍記念日は今から110年前、わが陸軍が日露戦争最後の大規模陸上戦闘となった奉天会戦に勝利し、奉天入城を果たした日を記念してその翌年に制定されました。

 今年もわたしたち甲飛喇叭隊 第十一分隊は、東京都護国寺にある音羽陸軍墓地ならびに、山縣有朋元帥、武藤信義元帥の墓所を参拝して参りました。現在は御寺の行事としては陸軍記念日記念祭は行われておりません。例年、有志の方々と参拝して参りましたが来年以降はご参列頂ける方を集い、陸軍将兵を偲び栄えある記念日を祝うに相応しい行事として確立して行きたいと考えております。

 さて、戦に際し自らを、また周りを鼓舞し、慰め、和ませる事に大きく力を添えたものは様々なものがありましたが、もちろん軍歌もそのひとつでした。今回はその「軍歌」に焦点を当てたエッセイ、全三回の第二回をお送りいたします。
 一服の時間、お休み前の一時、どうぞお供にお読み下さい。
<軍歌・戦時歌謡とレコード・CD 2/3>


時代は昭和に入りこの頃から軍歌が大量に作られるようになりました。そして戦時色がだんだんと強くなりはじめて防諜に関する曲もちらほらと出てきました。その中で♪とんとんとんからりの〜♪でお馴染みの「隣組」ですね。これは戦後替え歌でドリフ大爆笑のテーマソングとなったので知らない人はいないと思います。
ドリフといえば軍隊コントなんか面白かったですが「軍歌だよ全員集合」という軍歌もレコーディングしています。レコードジャケットはドリフっぽいですが中身はオマケの二曲を除いて真面目に歌ってます。もちろん「加藤(茶)隼戦闘隊」は加藤茶が歌ってますよ〜(笑)。ちなみにドリフターズって元はまじめな音楽バンドでビートルズの来日公演の前座を務めたグループでもあります。
すみません、話を「隣組」に戻します。これは歌詞としては回覧板を回したり、味噌、醤油を貸したり借りたりといった当時の隣近所一般家庭を歌ってますが要は監視組織だったんですね〜。その他「スパイの眼」「X27号」「スパイ御用」「防諜の歌」等々・・・全体的に曲調としては○○音頭的な軽快でコミカルな曲が多く国民が口ずさんで防諜意識を高めようとの感があったかどうかは?ですがね〜(笑)。

<このへんでチョッと一服>
先ほど替え歌の話が出ましたが、皆さんは子供の頃当時の流行歌を面白おかしく替え歌にして歌ったことがあると思いますが戦時中の子供たちも例外なく同じなんですね〜。

「紀元2600年」
〝金鵄あがって十五銭 栄えある光三十銭
 朝日は昇って四十五銭 鵬翼つらねて五十銭
 ああ一億の金は減る〟

戦争でタバコは値上がりしていくのを揶揄した替え歌で3番になると金鵄は七十銭まで値上がりしています。ちなみにこの時期に敵性用語禁止となりタバコのゴールデンバットが〝金鵄〟、チェリーが〝櫻〟レコード会社もコロンビアが〝日蓄〟キングが〝富士音盤〟てな具合に変わりました。野球でもストライクが〝いい球〟ボールが〝悪い球〟セーフが〝よし〟アウトが〝だめ〟・・・(笑)

「月月火水木金金」
 〝夜の夜中の真っ暗闇で ウンとふんばるあかがね色の
  クソの太さとみなぎる匂い 裏の畑の肥溜め便所
  けつけつかいかいノミくった〟

これは傑作ですね〜。大人たちが嫌がる下品な言葉を使うのは子供たちの特権ではないでしょうか?私もそうですが皆さんも子供のころ下品な替え歌をうたって怒られたことがあるのではないでしょうか?この音源を聞かせられないのが非常に残念でなりません(笑)。
他にもご紹介したい替え歌が沢山ありますが長くなってしまいますのでまた別の機会にでも。
ちなみに「露営の歌」の替え歌も面白いですよ。機会があれば是非に。

さて、話を軍歌にもどしましょう。昭和13年に徐州作戦に従軍した一兵士の実戦日記を陸軍報道部が依頼してポリドールから東海林太郎が歌ってヒットした「麦と兵隊」があります。これを期に「○○と兵隊」といった曲がつぎつぎとでました。「土と兵隊」「タバコと兵隊」「馬と兵隊」「芋と兵隊」っといったぐあいにはたして柳の下にドジョウは何匹いたんでしょうか?そして「露営の歌」(昭和12)がヒットすると翌年にはすぐに「続・露営の歌」が発売されましたが歌詞内容は〝続〟でも何でもなく曲名にただ〝続〟とつけただけなんですね〜。しかもヒットせず。つづいて「露営の歌」の前奏が長いのに目を付けたコロンビアは前奏に歌詞をつけて一曲作って下さいと西條八十に依頼して出来たのが「さくら進軍」です。ヒットしませんでしたが陸軍航空隊の前線基地では海軍の「予科練の歌」と同じようによく歌われていました。陸軍特攻隊の映画「最後の帰郷」(昭和20)の中でも隊員が合唱する場面がありました。


(つづく)
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